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日本美容皮膚科学会とは?特徴・会員数・学術大会を解説

  • 2026/07/31
  • 2026/07/31

日本美容皮膚科学会とは、美容皮膚科学の研究・教育・診療の発展を目的とする、日本最大級の美容皮膚科領域の学術団体です。正式名称はJapanese Society of Aesthetic Dermatology(通称JSAD)であり、美容皮膚科領域全般に関する最新の研究成果や臨床知見が発表されています。

2026年8月1日(土)・2日(日)には、第44回日本美容皮膚科学会総会・学術大会が、ウェスティンホテル仙台、仙台国際ホテル、江陽グランドホテルの3会場で開催されます。全国から美容皮膚科医、美容外科医、形成外科医、研究者、企業関係者などが集まり、美容医療の最前線について活発な議論が行われます。

美容医療は、この10年間で大きく進歩しました。

以前は「美容医療=美容外科」というイメージを持つ方も少なくありませんでした。しかし現在では、レーザー治療、ヒアルロン酸やボトックスなどの注入治療、スキンケア、再生医療、エネルギーデバイスを用いた治療など、美容皮膚科領域が急速に発展し、美容医療全体を支える重要な分野となっています。

その美容皮膚科領域の発展を学術面から支えている代表的な学会が、日本美容皮膚科学会(JSAD)です。

美容医療は自由診療であるため、新しい治療法や医療機器、薬剤が次々と登場します。一方で、「新しい治療=安全・有効」とは限りません。だからこそ、日本美容皮膚科学会では、最新の研究成果を共有し、多くの専門家が科学的根拠(エビデンス)に基づいて議論を重ねることで、安全性と有効性を両立した美容医療の普及を目指しています。

近年では、美容医療に対する社会的な関心の高まりとともに、患者自身が治療内容や医療機器について情報収集を行う時代になりました。その一方で、SNSやインターネットには科学的根拠が十分とは言えない情報も数多く存在しています。そのような中、日本美容皮膚科学会が発信する研究成果や診療指針は、美容医療の質を高める重要な指標として、医療従事者だけでなく一般の方からも注目されています。

本記事では、

  • 日本美容皮膚科学会(JSAD)とはどのような学会なのか
  • 日本皮膚科学会との違い
  • 日本美容外科学会(JSAPS・JSAS)との違い
  • 第44回日本美容皮膚科学会総会・学術大会の概要
  • 美容医療の最新トレンド
  • 今後の美容医療の展望

について詳しく解説します。

日本美容皮膚科学会とは

第44回日本美容皮膚科学会総会・学術大会に参加する医師のイメージ

日本美容皮膚科学会(Japanese Society of Aesthetic Dermatology:JSAD)は、美容皮膚科学の発展を目的として設立された、日本を代表する美容皮膚科領域の学術団体です。

美容皮膚科に関する基礎研究・臨床研究・教育活動を推進するとともに、国内外の最新知見を共有し、安全で質の高い美容医療の普及を目的として活動しています。

現在では、日本国内における美容皮膚科領域で最大規模の学会へと成長しており、皮膚科専門医を中心に、形成外科医、美容外科医、基礎研究者、企業研究者など、多様な専門家が所属している学会です。

日本における美容医療の代表的な学会としては、日本美容皮膚科学会(JSAD)のほか、日本美容外科学会(JSAPS)、日本美容外科学会(JSAS)があります。それぞれ専門分野や設立背景、所属する医師の構成に違いがあり、日本の美容医療はこれら複数の学会によって発展してきました。

各学会のそれぞれの特徴は以下の通りになります。

項目 日本美容皮膚科学会(JSAD) 日本美容外科学会(JSAPS) 日本美容外科学会(JSAS)
正式名称 Japanese Society of Aesthetic Dermatology Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery Japan Society of Aesthetic Surgery
設立 1983年(昭和58年)に研究会として発足、その後法人化 1977年(昭和52年)、「日本整容形成外科研究会」を母体として発足 1966年(昭和41年)設立。1978年に現在の名称へ改称
会員数 約3,000名超(公式HP、2023年8月時点) 約700~800名規模(公式HPでは正確な人数は非公表) 1,380名(2023年6月現在)
特徴 日本最大の美容皮膚科領域の学術団体。皮膚科専門医を中心に、レーザー、注入治療、再生医療、エネルギーデバイスなど非外科的美容医療が中心。大学皮膚科所属医師も多い。 形成外科を基盤とする美容外科学会。国際美容外科学会(ISAPS)が日本で唯一公認する学会。大学形成外科出身者が多く、学術色が強い。 日本で最も歴史のある美容外科学会。開業美容外科医の比率が高く、実臨床や経営・開業にも近いテーマを扱う。会員数はJSAPSより多い。

会員数だけを見ると、日本美容皮膚科学会は国内の美容医療関連学会の中でも最大規模を誇ります。公式サイトでは3,000名を超える会員が所属すると公表されており、厚生労働省資料では2024年時点で3,188名と報告されています。

近年では美容医療市場の拡大とともに、美容皮膚科領域の重要性が急速に高まっています。切開手術を伴わない低侵襲治療へのニーズが増えていることから、日本美容皮膚科学会が果たす役割は年々大きくなっていると言えます。

一方で、「日本美容皮膚科学会」と「日本皮膚科学会」は混同されることがありますが、両者は別の学会です。

日本皮膚科学会は湿疹やアトピー性皮膚炎、乾癬、皮膚がんなど皮膚疾患全般を対象とした国内最大の皮膚科学会であり、日本美容皮膚科学会は美容皮膚科領域に特化した独立した学術団体になります。

ただし、美容皮膚科学は皮膚科学を基盤として発展した専門分野であるため、多くの会員が日本皮膚科学会にも所属しています。また、日本皮膚科学会では「美容皮膚科・レーザー指導専門医制度」を設けるなど、美容皮膚科領域の教育や診療水準の向上にも取り組んでいます。

このため、制度上は別々の学会ですが、人的交流や学術活動という観点では非常に密接な関係にあることがわかります。

  • 日本皮膚科学会:約13,178名
  • 日本美容皮膚科学会:約3,188名

上記の数字からわかるように、日本美容皮膚科学会の会員数は日本皮膚科学会のおよそ4分の1の規模となります。それでも美容皮膚科という専門領域だけで3,000名を超える医師や研究者が所属していることは、日本国内における美容医療への関心の高さを示していると言えます。

日本美容皮膚科学会では、単に最新治療を紹介するだけではなく、安全性や有効性について科学的な検証を重ねながら診療ガイドラインの整備や若手医師の教育、国際交流なども積極的に行っています。美容医療を「医学」として発展させることが、この学会の大きな使命の一つです。

また、日本美容皮膚科学会への入会には一定の条件が設けられています。

入会時には、本学会代議員による推薦書と本人の略歴書の提出が必要となります。さらに、日本皮膚科学会または日本形成外科学会に所属している場合は代議員1名以上の推薦が必要となり、いずれにも所属していない場合は2名以上の推薦が求められます。(2026年7月25日時点での日本美容皮膚科学会入会/変更/退会より確認)

このような入会制度を採用している背景には、学会として一定の専門性や学術水準を維持する目的があります。そのため、日本美容皮膚科学会は誰でも自由に入会できる団体ではなく、専門性を重視した学術団体として運営されています。

日本美容皮膚科学会では、審美性に関わる肌分野について国内外の最新研究が報告され、臨床経験だけではなく科学的根拠に基づいた美容医療の発展が議論されています。

さらに、皮膚科専門医だけではなく、美容外科医、形成外科医、基礎研究者、製薬企業や医療機器メーカーの研究者など、多様な専門家が参加している点も大きな特徴です。

美容医療は医学だけで成り立つ分野ではありません。材料工学や薬学、生物学、画像解析技術、AIなど、多くの学問分野が融合することで新しい治療法が生まれています。そのため、日本美容皮膚科学会では多角的な視点から活発な議論が行われています。

その中でも、日本美容皮膚科学会が果たした大きな役割の一つが、「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」の策定です。

この診療指針は、日本皮膚科学会(JDA)、日本美容皮膚科学会(JSAD)、日本美容外科学会(JSAPS)、日本形成外科学会(JSPRS)、日本美容外科学会(JSAS)の5学会が共同で作成したものであり、美容医療における科学的根拠をまとめた国内でも極めて重要なガイドラインとなっています。

この診療指針は、厚生労働科学研究補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)の一環として作成されたものであり、日本の美容医療における科学的根拠(エビデンス)を体系的にまとめた初めての包括的なガイドラインとして高く評価されています。

ガイドラインには、

  • シミ・色素性病変
  • イボ・良性皮膚腫瘍
  • シワ治療
  • たるみ治療
  • レーザー治療
  • 医療脱毛
  • 腋窩多汗症
  • 豊胸術
  • 美容医療における医療安全

などの項目に分けられており、多くの美容医療分野について、現在得られている科学的根拠が整理されています。

これまで美容医療は、「経験則」による診療が中心という印象を持たれることもありました。しかし現在では、保険診療と同様に科学的根拠を重視する流れが強まり、治療法の有効性や安全性を客観的に評価することが求められる時代になっています。日本美容皮膚科学会がこの診療指針の策定に中心的な役割を果たしたことは、日本の美容医療全体の質・信頼性の向上に大きく貢献したといえます。

また、診療指針には大学病院の教授をはじめ、日本を代表する皮膚科医、形成外科医、美容外科医など、多数の専門家が研究代表者・研究分担者・研究協力者として参加しています。

一人の医師の経験だけではなく、多くの施設から集められた研究結果をもとに議論が重ねられていることも、このガイドラインの大きな価値です。

近年、日本美容皮膚科学会では海外からの招待講演も増えており、国際的な学術交流も年々活発になっています。

美容医療は世界中で急速に発展している分野であり、日本だけでなく韓国、台湾、中国、アメリカ、ヨーロッパなど各国で新しい医療機器や治療法が開発されています。日本美容皮膚科学会は、それら世界の最新知見を日本へ取り入れるだけではなく、日本から世界へ研究成果を発信する重要な役割も担っています。

現在ではアジアを代表する美容皮膚科学会の一つとして国内外から高く評価されており、日本の美容医療の発展を牽引する存在となっています。

日本美容皮膚科学会の目的

日本美容皮膚科学会の目的は、学会のHPでも公表されており、会則(定款)第3条で明確に定められています。

「美容皮膚科学に関する研究及び、その研究成果の普及、ならびに会員相互の支援、交流、連絡等を主たる目的とする。」すなわち純然たる研究を目的としており、その普及と活発化を目的していることが定款から読み取れます。そして、その研究はどのように活性化されるのかも会則(定款)第4条で明文化されています。

本法人は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。

(1) 定期学術大会、講演会、分科会の開催

(2) 学術大会の記録、その他の刊行物の発行

(3) 国内外の関連諸学会等の連絡及び協力活動

(4) その他本法人の目的を達成するために必要な事業

すなわち毎年1回必ず行われる大規模な学術大会(主に8月)をはじめ、アカデミックな活動が実際の美容医療の臨床現場に反映されるようになっています。

 

学会に所属するメリット

最新の美容医療エビデンスを継続的に学べる、これが日本美容皮膚科学会に所属する代表的なメリットといえます。

美容医療は通常の診療科ほど、学べる機会が体系化されていません。これまでは経験則に基づく指導が多かったからです。しかし、昨今の学会活動の発展により、アカデミックな情報が美容皮膚科学会から学べることが多くなりました。その他にもハンズオン、エキスパートによる症例検討など、臨床に沿った知見を得ることも大きなメリットになります。もちろん製薬・医療機器会社のセミナーも活発に行われておりますが、それらはあくまでも自社製品のPRになるため、本当の意味でフラットな情報を得るためには学会等のシンポジウム講演から学ぶのが最も公平かつ信頼性が高いといえます。

 

仙台で開催される第44回日本美容皮膚科学会総会・学術大会

日本美容皮膚科学会に所属する皮膚科のイメージ

最新の総会となる第44回日本美容皮膚科学会総会・学術大会は、2026年8月1日(土)・2日(日)の2日間にわたり、宮城県仙台市で開催されます。

会場は、

  • ウェスティンホテル仙台
  • 仙台国際ホテル
  • 江陽グランドホテル

の3会場で構成されており、日本全国から数千人規模の医師、研究者、医療従事者、企業関係者が集まる、日本最大級の美容皮膚科学術大会となります。

2026年大会のテーマは、

「みんなキレイに、幸せに」 です。

会頭は、仙台たいはく皮膚科クリニック院長の菊地克子先生が務められます。

この総会では非常に多岐にわたる演題が発表されます。診療技術だけではなく、美容医療を取り巻く社会的課題や情報発信の在り方まで議論される点も、日本美容皮膚科学会の大きな特徴と言えるでしょう。

私自身も今回、マーケティング分野のシンポジウムで登壇する予定です。

医師ではない立場で医学会に登壇させていただくことに大きな責任を感じていますが、美容医療における正しい情報発信や患者とのコミュニケーションについて、有意義な議論ができればと考えています。

また、自身の講演だけではなく、できる限り多くのセッションを聴講し、日本の美容医療の最前線に触れることで、新たな知見を今後の活動へ活かしていく予定です。

美容医療は科学的根拠(EBM)を重視する時代へ

私が美容医療に携わり始めた頃の学会では、症例報告を中心とした発表が多く、保険診療のように厳密なエビデンスに基づいた議論はまだ発展途上であった印象があります。

しかし現在では、美容医療も大きく変化しています。

「経験があるから効果がある」という考え方ではなく、

  • どのような患者に適応となるのか
  • どの程度の効果が期待できるのか
  • 合併症の発生率はどのくらいか
  • 長期的な安全性は十分に確認されているか

など、科学的根拠に基づいた評価が重視されるようになりました。

実際に自由診療で使用される医薬品や医療機器についても、厚生労働省の承認を受けた製品が年々増えており、美容医療全体がより安全で質の高い医療へと進化しています。患者へ正しい情報を届け、適切な治療選択を支援することも、これからの美容医療に求められる重要な役割です。

美容医療のトレンド

日本美容皮膚科学会で毎年発表される演題を見ていると、美容医療の進化の方向性がよく分かります。

近年、特に注目されているトレンドは大きく5つあります。

① 自然な仕上がり(Natural Results)

現在の美容医療で最も重視されているのは、「自然な美しさ」です。

以前のように劇的な変化を求める治療よりも、

「若々しい印象になった」

「きれいになったけれど整形と気付かれない」

といった、ナチュラルな変化を目指す患者が増えています。

特に日本では、「変わり過ぎない美しさ」を重視する傾向が強く、シミやたるみ、肌質改善など、美容皮膚科領域の需要は年々高まっています。

レーザー治療や注入治療も、「必要な部分だけを改善する」という考え方が一般的となり、患者一人ひとりに合わせたオーダーメイド治療が主流となっています。

② 低侵襲(Minimally Invasive)

二つ目のトレンドは、低侵襲治療です。

ダウンタイムを短縮し、日常生活への影響をできるだけ少なくする治療が世界的に求められています。

レーザー治療、高周波(RF)、HIFU、ボトックス、ヒアルロン酸、スレッドリフトなど、身体への負担を抑えながら効果を得られる治療が広く普及しています。

日本における外科・非外科の施術件数割合

世界市場においても、美容外科より美容皮膚科領域の施術件数が圧倒的に多く、非外科的治療が美容医療市場を牽引しています。

③ コンビネーション治療(Combination Therapy)

三つ目のトレンドは、コンビネーション治療です。

これまでは、「レーザーだけ」「注入治療だけ」といった単独の施術で治療を行うケースが一般的でした。しかし近年では、それぞれの治療法が持つ特徴を生かし、複数の施術を組み合わせることで、より高い治療効果を目指す考え方が主流になっています。

例えば、

  • レーザー治療と医療スキンケア
  • HIFUと高周波(RF)
  • ヒアルロン酸とボトックス
  • レーザー治療と再生医療
  • 糸リフトと注入治療

など、作用機序が異なる治療を組み合わせることで、一つの施術だけでは得られない相乗効果が期待できます。

加齢による変化は、皮膚、脂肪、筋肉、靱帯、骨格など複数の要因が重なって起こります。そのため、一つの治療だけで全ての悩みを改善することは難しく、患者一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイド治療が重要になっています。

日本美容皮膚科学会でも、このような複合的な治療戦略に関する発表が年々増えており、「患者ごとに最適な治療を組み合わせる」という考え方が、美容皮膚科診療の新しいスタンダードになりつつあります。

もちろん、治療を組み合わせれば良いというわけではありません。

治療回数や費用、ダウンタイムとのバランスを考えながら、本当に患者の利益につながる組み合わせであるかを科学的に検証することも重要です。そのため、コンビネーション治療についても有効性だけでなく費用対効果や安全性について活発な議論が行われています。

④ 画像診断技術と安全性の向上

四つ目のトレンドは、画像診断技術の進歩と安全性の向上です。

美容医療では、「美しくなること」だけではなく、「安全に治療を行うこと」が何よりも重要です。

近年では、高精度な顔面解析システムや3D画像解析、AIを活用した画像診断などが急速に発展しており、治療前後の変化を客観的に評価できるようになっています。

画像解析技術の進歩によって、従来は医師の経験に頼る部分が大きかった評価についても、より客観的な診断が可能となっています。

さらに、安全性に関する研究も日本美容皮膚科学会では毎年数多く発表されています。医療に100%安全な治療は存在しません。どれほど経験豊富な医師であっても、症例数が増えれば一定の確率で合併症や副作用に遭遇します。

重要なのは、「副作用をゼロにすること」ではなく、万が一発生した場合に迅速かつ適切に対応することです。

ヒアルロン酸による血管塞栓やレーザー治療後の色素沈着、熱傷などのリスクについても、多くの研究が行われており、安全管理は日本美容皮膚科学会の主要テーマの一つとなっています。

また、厚生労働省の医療広告ガイドラインの改正や、美容医療における安全管理体制の強化なども進められており、学会としても適切な医療提供体制の整備に積極的に取り組んでいます。

⑤ 情報発信・医療倫理の重要性

五つ目のトレンドは、情報発信と医療倫理です。

現在では、多くの患者がInstagram、YouTube、TikTokなどのSNSやインターネット検索を通じて美容医療の情報を収集しています。その結果、美容医療に関する情報量はこれまでになく増加しました。

一方で、科学的根拠が乏しい情報、誇大広告なども問題視されています。

だからこそ、日本美容皮膚科学会では、医療広告、インフォームドコンセント、患者への適切な情報提供、医療倫理といったテーマも重視されています。

美容医療は自由診療ではありますが、本質は「医療」です。患者が十分な情報を得たうえで納得して治療を選択できる環境を整えることは、医療従事者に求められる重要な責務となります。

近年では、医療広告ガイドラインやSNS利用に関する講演、医療従事者向け教育講演なども増えており、日本美容皮膚科学会は診療技術だけではなく、美容医療全体の質を向上させる役割も担っています。

学術総会で議論されるテーマは、「新しい機器を導入すること」だけではありません。

その治療が本当に患者の利益につながるのか、安全性は十分に検証されているのか、そして社会に対してどのように正しい情報を発信していくべきなのか、このような視点から美容医療を議論することこそが日本の美容医療が成熟した学術分野へ発展していくために不可欠です。

 

学会のこれから

皮膚科医

美容医療市場は、世界的に見ても今後さらなる成長が期待されている分野です。

世界有数の戦略コンサルティングファームであるボストン コンサルティング グループ(BCG)のレポートによると、美容医療の世界の市場規模は2024年の段階で約200億ドル、今後も年平均6%の成長が予想され、2028年には270億ドルになる見込みです。市場成長率を施術別で見ると、医療機関を通じたスキンケア市場は9%と高い成長が見込まれ、ボトックスなどの神経調節剤を用いた注射治療は7%、ヒアルロン酸注入など皮膚充填剤を用いた注入治療は6%の成長が期待されています。

日本はその中でも特にポテンシャルのある国であると位置付けられており、それと同時に、市場が拡大するほど、正確な情報提供、安全性の確保、適切な医療倫理の重要性はさらに高まっていくことが予想されます。

このため、日本の美容医療領域で最大の会員数を誇る日本美容皮膚科学会には、最新の研究成果を共有する場としてだけではなく、美容医療の質を社会全体で高めていく役割が期待されています。若手医師の教育や国際交流、多施設共同研究の推進など、学会が果たす役割は今後ますます広がっていくことに期待が寄せられます。

患者側にとっても、「学会発表があった」という事実だけで治療法を評価するのではなく、その内容が査読論文として公表されているか、十分な科学的根拠があるかを確認する姿勢が重要です。

筆者個人としても学会発表を商業的なプロモーションで使われることは御法度であると考えています。勿論、純粋な学術活動の結果として、権威性や知名度が上がることには異論はありません。美容医療は日々進歩していますが、その進歩を支えているのは、一つひとつの研究と、それを検証し議論する学術活動です。日本美容皮膚科学会は、まさにその中心的な役割を担う学術団体の一つであり、今後も美容皮膚科学の発展と安全な美容医療の普及に大きく貢献していくことが期待されます。

 

日本美容皮膚科学会は、美容医療の未来を支える学術団体

医療は日進月歩の世界であり、医薬品・医療機器の開発とともに常に新しい治療法が確立されていっています。その中でも美容医療は技術革新のスピードが非常に速い分野です。一方で、患者の安全性や満足度を高めるためには、新しい技術を冷静に評価し、科学的根拠に基づいて活用する姿勢が欠かせません。

「美容」という冠がついても、保険負担を強いない自由診療であっても本質は「医療」です。医療は科学の集大成であり、人類の健康・生命の発展に大きく寄与してきた分野になります。

日本美容皮膚科学会は、そのための知識と経験が集まる場であり、美容医療の領域では日本国内では最大の会員数を誇る学会です。医師・医療従事者同士が学び合い、議論し、より良い医療を追求する重要な機会となっており、今後もその動向が注目されています。

日本美容皮膚科学会のよくある質問(FAQ)

Q. 日本美容皮膚科学会の正式名称は何ですか?

A. 日本美容皮膚科学会の正式名称はJapanese Society of Aesthetic Dermatologyです。英語名称の頭文字を取り、JSADと略されることもあります。

Q. 日本美容皮膚科学会の会員数は何人ですか?

A. 厚生労働省の資料によると、2024年時点の日本美容皮膚科学会の会員数は3,188名と報告されています。美容皮膚科領域では国内最大規模の学術団体の一つです。

Q. 日本美容皮膚科学会の目的は何ですか?

A. 日本美容皮膚科学会の会則(定款)第3条では、「美容皮膚科学に関する研究及び、その研究成果の普及、ならびに会員相互の支援、交流、連絡等を主たる目的とする。」と定められています。美容皮膚科学の研究・教育・学術交流を通じて、美容医療の発展に貢献することを目的としています。

Q. 2026年の日本美容皮膚科学会総会・学術大会はどこで開催されますか?

A. 第44回日本美容皮膚科学会総会・学術大会は、2026年8月1日(土)・2日(日)に宮城県仙台市で開催されます。会場はウェスティンホテル仙台、仙台国際ホテル、江陽グランドホテルの3会場で構成されており、プログラムによるとハンズオンセミナーを含め全13会場で講演やシンポジウムが実施される予定です。

プログラムの詳細は下記をご確認ください。
https://shun-convention.jp/bihifu44/docs/schedule_0801.pdf

この記事の執筆者

城戸崎祐馬 Yuma KIDOSAKI

  • MBA(Master of Business Admistration) in UK
  • MFA(Master of Fine Arts) in JAPAN

エーザイ株式会社・アラガンジャパン株式会社(現AbbVie)において大学病院の支援、医療機関へのBusiness Consultingを提供。特に自由診療において多数のプロジェクトを手掛け、マーケティング・広報・組織改革等を実施。NTTデータ経営研究所に移籍後は大手通信会社・製薬企業・官公庁などを主体とした産業戦略案件に従事する。
2020年にヘルスケア、ウェルネス領域に特化したシンクタンクである株式会社KCC PARTNERSを設立。市場調査から売上向上の実質的な戦略デザインを行う医療コンサルタント   。

 

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