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皮膚科専門医とは??取得方法・難易度・合格率をわかりやすく解説
- 2026/07/25
- 2026/08/03
皮膚科医とは、皮膚・爪・毛髪・粘膜に生じる疾患の診断・治療を専門とする医師のことを指します。そして皮膚科専門医とは日本皮膚科学会が指定する研修施設で5年以上の臨床経験を積み、論文発表や学会報告などの条件をクリアして日本専門医機構が認定した医師です。
昨今では未熟なキャリアのまま開業する医師が増加し、いわゆる「直美(ちょくび)」が社会問題化となっています。
十分な知識や経験を積まず、指導医もいない状態で診察を続けると健康被害が増加する恐れがあります。ユーザー(患者)側も自分の診察をする医師のキャリアをしっかりと確認する必要性がでてきました。
医師の専門性やキャリアを一定担保する上で話題になっているのが「専門医」です。
ここでは皮膚科専門医について、その詳細を解説します。
皮膚科専門医の正式名称は「日本専門医機構認定皮膚科専門医」です。これは2018年に開始された新専門医制度によりこの名称となり、それまでは「日本皮膚科学会認定皮膚科専門医」でした。現在も旧制度の名称で表記されている施設や医師も多くいらっしゃいます。
皮膚科専門医は機構認定専門医制度(新専門医制度)のもと、日本専門医機構が認定し、日本皮膚科学会が研修プログラムや試験を担当する資格となります。
https://www.dermatol.or.jp/medical/specialist/4961/
では実際に皮膚科専門医とはどれくらいの経験を積み、難易度が要されるのか。このコラムではそれらをわかりやすく解説します。
皮膚科医とは?近年の動向と役割

皮膚科医とは、皮膚・爪・毛髪・粘膜に生じる疾患の診断・治療を専門とする医師のことを指します。湿疹やアトピー性皮膚炎、にきび、じんましん、水虫などの日常的な疾患から、乾癬や自己免疫疾患、皮膚がんなど高度な専門性を要する疾患まで、非常に幅広い領域を担当します。皮膚は人体最大の面積を誇る臓器であり、内科疾患や膠原病、感染症、悪性腫瘍など全身疾患の症状が皮膚に現れることも少なくありません。そのため、皮膚科医には皮膚だけではなく、病理学、免疫学、感染症学、腫瘍学など幅広い医学知識が求められます。
近年の皮膚科医療は大きく進歩しています。アトピー性皮膚炎や乾癬、円形脱毛症などでは、生物学的製剤やJAK阻害薬といった新しい治療法が登場し、従来は十分な治療効果が得られなかった患者に対しても高い治療効果が期待できるようになりました。また、ダーモスコピー(皮膚拡大鏡)やAIを活用した画像診断支援技術の発展により、皮膚がんの早期発見・早期治療にも注目が集まっています。
(厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/24/index.html)
一方で、美容医療市場の拡大も皮膚科医を取り巻く環境を大きく変えています。しみ・しわ・たるみ・医療脱毛・レーザー治療・注入治療などの自由診療分野は急速に発展し、美容皮膚科へ進む医師も増えています。その一方で、冒頭で申し上げた通り、十分な臨床経験を積まずに美容医療へ進む、「直美(ちょくび)」が社会的な議論となり、医師の経験や専門性に対する関心は以前にも増して高まっています。
このように、皮膚科医は単に皮膚疾患を診るだけではなく、全身疾患の診断や最新医療の実践、美容医療まで幅広い領域を担う専門家です。医療機関を選ぶ際には、専門医資格の有無だけでなく、医師の診療経験や専門分野、所属学会、診療実績なども含めて総合的に確認することが、納得のいく医療を受けるための重要な判断材料となります。その中で最もわかりやすい指標が「専門医」を保有しているかどうかになります。
また、一般的に皮膚科は女性比率が高い診療科と言われています。皮膚科医の女性比率は、調査や所属先(病院か診療所か)によって異なりますが、「日本皮膚科学会 皮膚科の女性医師を考える会」の報告によると、2009年の時点で皮膚科の女性医師の比率が 43%と、全診療科のなかでも特に高い割合を示しています。若い世代(30代など)に絞ると、7割を超えていると報告もあります。女性の比率が高くなるとどうしても出産・育児といったライフイベントに向き合わなければなりません。このため、勤務体系やキャリアアップに関してシビアに考えなければいけない局面も他の診療科より多くあるのも事実です。そしてキャリアの分岐点に「専門医」を取得するかどうかもあげられています。
日本皮膚科学会専門医を取得するまでのプロセス

このように皮膚科医の中でも一つの目標ともいえる専門医とはどのようなものなのかをこのセクションでは解説します。
まず、日本で「皮膚科専門医」と名乗るためには、以下のプロセスが必要となります。
1. 医師国家試験に合格する
医学部(6年制)を卒業し、医師国家試験に合格して医師免許を取得する
2. 初期臨床研修(2年間)課程を修了する
医師免許取得後、各診療科を経験し、医師としての基本作法・現場知識を学びます
3. 皮膚科専門研修プログラム(専攻医として3年間以上)を修了する
初期研修終了後に、皮膚科専攻医として専門研修を開始するために、日本専門医機構が認定した皮膚科研修プログラムへ所属する必要があります。いわゆる一定の規模をもつ基幹病院、大学病院との連携施設に所属しなければいけません。(一般的な皮膚科クリニックや美容クリニックでは、専攻医研修は行うことができません。)
ここで皮膚疾患の一通りを経験することが要されますが、単に3年間勤務すればいいわけではなく、この期間中に一定以上の症例を経験(電子システム管理)、指導医による評価、カリキュラム達成が求められます。
4. 専門医試験
初期研修を含めた最低5年以上の医師経験を有して、初めて専門医試験を受験する資格がでます。
例年、受験申し込みは7月、試験日は12月に実施され、試験内容は筆記試験(約120問)のみです。2018年度までは面接試験もありましたが、2019年以降、面接は廃止されています。
直近(2020年〜2024年度)の合格率推移をみるといずれも約80%の水準です。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2020年度 | 220名 | 177名 | 80.5% |
| 2021年度 | 275名 | 223名 | 81.1% |
| 2022年度 | 330名 | 267名 | 80.9% |
| 2023年度 | 291名 | 236名 | 81.1% |
| 2024年度 | 289名 | 232名 | 80.3% |
*公益社団法人 日本皮膚科学会の公表資料をもとに作成
合格率だけを見ると8割以上の人が合格するのか・・・と思われるでしょうが、そもそも受験資格を有するのが「一定の基準を満たした施設で臨床経験5年以上を積んだ医者」という厳しい前提条件があります。加えて皮膚科の領域は診断学の比重が非常に大きく、数千種類ともいわれる皮膚疾患を鑑別する必要があります。視診だけで鑑別する能力や、病理・免疫・感染症・腫瘍など幅広い知識が求められます。
専門医取得後も永久資格ではない

ここが皮膚科専門医の厳しいところで、一度とった「専門医」は決して永久資格ではありません。現在の制度(2026年7月時点)では5年ごとの更新が必要になります。
更新の際に必要なものとして「継続した診療実績(100症例一覧の提出またはE-test合格)」が必須であり、その他にも「共通講習・領域講習の受講」「学会活動」などで、必要単位を取得する必要があります。
すなわち専門医を取得した後も臨床経験を積み、学術活動に勤しまなければ、その資格を維持することはできません。特に継続した診断実績(実質的に保険診療の領域)を提出しなければいけないという点で厳しい水準が求められています。
専門医取得後にさらに取得できる資格
皮膚科専門医取得後には、さらにサブスペシャリティや関連資格を取得する医師もいます。代表例としては、以下が挙げられます。
- 日本皮膚科学会皮膚悪性腫瘍指導専門医
https://www.dermatol.or.jp/medical/specialist/4967/ - 日本アレルギー学会専門医
https://www.jsaweb.jp/modules/specialist/index.php?content_id=7 - 日本皮膚科学会美容皮膚科・レーザー指導専門医
https://www.dermatol.or.jp/medical/specialist/4973/
規則・細則が厳密に決められ、公開されています。こちらも厳格な管理体制のもとでその専門性の証明がなされています。
全国に皮膚科専門医は何名いる?
2024年度に発行された日本専門医制度概報によると、7606名の皮膚科専門医が在籍しています。
なお、日本皮膚科学会の会員数は約13,000人ですので、会員全員が専門医というわけではありません。
また、全国各地にいる皮膚科専門医MAPなるものが、日本皮膚科学会より公開されていますので、お住まいの都道府県にて専門医を検索することが可能です。
https://www.dermatol.or.jp/spmap/
ちなみにインスタグラムでのハッシュタグでは「#皮膚科専門医」は5.6万件つけられています(2026年7月末時点)。皮膚科専門医というワードそのものが信頼の担保として引用されてきているのがSNSの世界からもよくわかります。
ちなみに日本皮膚科学会は明治33年(1900年)に創立され、非常に長い歴史と権威ある学会です。国内の皮膚科領域を代表する公益社団法人であり、厚生労働省が推進する新専門医制度のもと、日本専門医機構と連携して皮膚科専門医制度を担う中核学術団体です。
皮膚科専門医についてのまとめ

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医(皮膚科専門医)制度の概要は以下のとおりです。
- 全国の皮膚科専門医:約7,600名
- 毎年の合格者:約200~250名
- 合格率:近年は約80%
- 取得までの最短期間:医師免許取得後、最低5年(初期臨床研修2年+皮膚科専門研修3年)
- 取得後:5年ごとの更新制度があり、継続した診療実績や学術活動などが求められる
もちろん、「専門医=名医」というわけではありません。医療は経験だけでなく、人柄やコミュニケーション能力、患者一人ひとりに寄り添う姿勢など、さまざまな要素によって成り立っています。そのため、専門医資格を持っていることだけで、その医師の技量や人格をすべて判断できるものではありません。
しかし一方で、専門医資格は誰でも取得できるものではありません。医師免許を取得しただけでは受験資格すら得られず、初期臨床研修を修了したうえで、日本専門医機構が認定した研修プログラムに所属し、多数の症例経験や指導医による評価、カリキュラムの修了など、厳格な要件を満たす必要があります。その後も専門医試験に合格しなければ資格は取得できず、さらに取得後も5年ごとに更新を行い、継続した診療実績や学術活動を通じて知識・技術を維持していくことが求められます。
つまり、皮膚科専門医資格とは、「一定の知識・経験・技能を有し、継続的に研鑽を積んでいる医師」であることを客観的に示す一つの指標といえるでしょう。特に皮膚科は、湿疹やアトピー性皮膚炎、にきびなどの一般的な疾患から、自己免疫疾患、感染症、皮膚悪性腫瘍まで幅広い疾患を診療する専門領域であり、視診能力や鑑別診断能力が極めて重要になります。そのため、体系的な専門研修を受けていることには大きな意味があります。
近年は美容医療市場の拡大や、「直美(ちょくび)」の問題などを背景に、医師の経歴や専門性に対する社会的な関心も高まっています。自由診療・保険診療を問わず、医療を受ける患者側が医師の経歴や資格を確認することは、決して特別なことではなくなりました。ホームページや学会認定資格、専門医資格、所属学会、臨床経験などの情報を確認し、自分に合った医師を選択することも、納得できる医療を受けるための重要な判断材料の一つといえるでしょう。
情報があふれる時代だからこそ、広告や口コミだけに左右されるのではなく、客観的に確認できる資格や経歴を参考にすることが重要です。皮膚科専門医資格は医師を評価する唯一の基準ではありませんが、医師が一定水準以上の専門研修と経験を積み、現在も継続して自己研鑽を行っていることを示す、信頼性の高い客観的な指標の一つであることは間違いありません。医療機関や担当医を選ぶ際には、そのような情報も参考にしながら、自分自身が納得し、安心して相談できる医師を見つけることが大切です。
この記事の執筆者
